2003年10月22日水曜日

幻の青いバラ


色々なバラの中で「青い」バラだけが自然界にないのは有名な話であり、その青いバラを作り出す研究が古来から世界中でなされているのも知られた話である。勾配を重ねる方法、遺伝子操作をする方法、放射縁などで突然変異を起こさせる方法などが多くなされ、青に近い色のバラ(多くは紫)は出来ているものの(ブルーヘブン青龍(写真)、青いバラに似たトルコギキョウ)、現代の科学をもってしても未だに完全な青いバラは完成していない。
そもそもバラには青い色素を作る遺伝子がない。以前サントリーが多くの青い花に含まれる「デルフィニジン」という色素を作る遺伝子をトルコギキョウから単離したが、この遺伝子を組み込んでもいまだ青いバラは完成していないようである。青くなるにはその他の要因が複雑にからんでいるものと考えられる。今年になって青森県は「チョウマメ」が青い花を咲かせために必要な遺伝子(新規グルコシル基転移酵素遺伝子)を発見した。この遺伝子は「デルフィニジン」と結合し「青」を発現するのに重要な物質を作るらしい。今後トルコギキョウの遺伝子に加えこの新しく単離された遺伝子の導入が行われ、青いバラの実験が繰り返されるとの事である。ただ、この他にも金属イオンの存在や細胞のpHなど他にも要素があるものと思われ青いバラが実現するのはもう少しかかりそうだ。
ところで逆に、何故バラには青くなる要素がないのか?どうしてそこまでして青くなろうとしないのか?。むしろその方に関心がいく。実は不可侵な領域ではないのか?多大な労力や遺伝子操作、人間の科学の粋を集めてまでそれを追い求める魔力が「青いバラ」にはある。僕もひとめ見てみたいと思う。しかし、心の中では「青いバラ」はいつまでも夢のままであって欲しいと思ったりしている。
(追記;2004年6月30日)サントリーが青いバラの開発に成功したそうです。「デルフィニジン」を産生するのに必要な遺伝子の導入に成功、花弁にほぼ100%含有出来るようになったとの事です。科学はここまできたんですね。うれしいような、悲しいような。(サントリー
→参考;Yahoo!ニュース毎日新聞

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