2003年10月18日土曜日

松茸について

バイト先で松茸をいただいた。
一人暮らしをしていると季節感のないもので、仕事への運転中、道端に「松茸」の看板が増えてくると、ああ、そういう季節なんだなと思う程度である。そもそも松茸のようなものは一人暮らしなどしていると縁のないもので、高価なものだという認識しかない。だから「美味しさの生きる」「勿体なくない」食べ方を是非しないといけない、と考えてしまうものだ。では、「美味しさの生きる」「勿体なくない」食べ方とは何だ?と考えても経験のない僕はそうそう思いつかないので、実家に持って帰る事にした。
そういえば、松茸を最後に食べたのはブータンを旅している時だった。ブータンでは松茸は普段食べられている珍しくないきのこであったが、日本では高価で流通するということがわかってからは輸出に回され、ブータン人の口に入らなくなったという。ブータンを旅しているとき、(僕が日本人であるからだと思うが)あちらこちらで食事に松茸が振る舞われ、その度になんだかやるせない感情を抱いた。もっともそれは日本が悪いわけでも、ブータンが悪いわけでもないのだけれども。
そんなことを考えながら、はたして松茸と僕は実家に着いた。そして今日は久々に家族が全員そろっての食事となった。やはり実家でも滅多に松茸なんか食べないものだから、「美味しさの生きる」「勿体なくない」食べ方とは何だとあーだこーだ言いながら、お吸い物にしたり、焼いて醤油につけて食べたり・・・。いろいろな方法でいただいた。どう食べても、その独特の風味といいこりこりとした歯ごたえといい馥郁たるおいしさだった。
でも結局、家族が集まってあれやこれや言いながら食べるという事、それ自体に美味しさの素因があるのではないかと思った。

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