2004年3月31日水曜日

Yes / Leave It(1984)


(今日の80's #30)Yes / Leave It(1984)米24位、英56位
特にYesのファンというわけでもないので、70年代のプログレまるだしのYesはほとんどなじみがなく、僕がリアルタイムで知っているのは大ヒットした1983年の11枚目のアルバム「90125」以後。Trevor Hornがプロデュースしたこのアルバムは従来のYesからがらりと変わったテクノロジーを駆使したポップな出来で、結果的に大ヒットしたものの旧来からのファンは複雑な心境だったらしい。しつこいようだが僕はここからしか知らないのでYesのイメージはこのアルバムである。このアルバムからは第一段シングルの「Owner of a Lonely Heart」が全米1位を記録したが、この「Leave It」はそれに続くシングルカット。これ以前もこれ以後も聴いた事のない奇妙な曲である。Yesの面々の抜群のコーラスワークにThe Art Of Noiseばりの(まあ、Trevor Hornだから・・・)オーケストラヒットや爆弾のようなドラムのサンプリングが重なる。一体Yesのファンはこの曲をどう判断したのだろうか?僕は特にファンではないのでこの曲は許すっていうかもう大好き。Trevor Hornらしくシングルは微妙に違うRemixで、オフィシャルだけでも他にHello, Goodbye MixやらA Capellaなどがある。ちなみに当時NHK-FMではこの曲はA Capellaバージョンしかかからなかった(ナゼだか知っているひとは是非ご教授お願い致します)。余談だがA Capellaバージョンの2分49秒ごろに誰かが咳払いしているのが聞こえる。
ジャケットやアルバムタイトルがなんだか手抜きなかわりにYesはビデオを非常に凝っており、「Owner of a Lonely Heart」での映画的な世界に続いて、この「Leave It」ではGodley & Cremeを起用。逆さまにぶら下がったぺらぺらのYesの面々があっちいったりこっちいったり、顔がくるくる回ったり・・・。最後は折り畳んで消えてしまう。もう大好き。
オフィシャルサイト

2004年3月30日火曜日

The Other Ones / Holiday(1987)


(今日の80's #29)The Other Ones / Holiday(1987)米29位
オーストラリア出身のKlimek3兄弟を中心としたドイツのバンド(意味がわからないが他のメンバーはドイツ人らしいし、そういうことらしい)The Other Onesのスマッシュヒット。アルバム「The Other Ones」からのセカンドシングルで、男女ツインボーカル(AlfとJayney Klimek)の能天気なパーティチューン。打ち上げ花火みたいで単純に楽しい。この12インチは中古レコード屋で100円で発見したものだが、こういう単発のヒット曲が80年代の洋楽の醍醐味なのかもしれないなあ。
彼らは1988年にセカンドアルバム「Learning To Walk」を発表し、おそらく解散したと思われる。その後はそれぞれに活躍しているらしいのだが詳細は不明。ただ、赤毛のローラが走りまくるぶっ飛んだドイツ映画「ラン・ローラ・ラン(Run Lola Run / Lola Rennt)」(1999年)でのテクノなサウンドトラックをベースのJohnny Klimekが手がけていたということを最近知って驚いた。この映画、アニメと実写が入り交じる疾走感あふれる映像とテクノの躍動感がうまくシンクロしており、時間差で人生の様々な分岐点が交差する暴れはっちゃくなラブストーリー。かなり面白い。
ラン・ローラ・ラン(DVD)amazon

Lloyd Cole And The Commotions / Brand New Friend(1985)


(今日の80's #28)Lloyd Cole And The Commotions / Brand New Friend(1985)英19位
おそろしく人相の悪いLlyod Coleは1961年イギリス、バクストン生まれのシンガーソングライター。グラスゴー大学で国文学と哲学を学び、大学の仲間たちとCommotionsを結成したのは1983年。Commotionsとのアルバムは3枚あり、1985年発表のセカンドアルバム「Easy Pieces」からのファーストシングルがこの曲であった。3枚のうちこのアルバムが一番ネオ・アコっぽいが、リリカルでメランコリックなギターと穏やかでのどかなアコーディオンの響きが魅力的で、非常に知的で詩的でありながら優しくたおやかな世界を展開していた。
1989年にベストアルバムを発表しCommotionsを解散した後、Lloyd Coleはニューヨークに渡りソロとして活躍しているが、静かで内省的な良作を堅実に発表している。いいアーティストである。人相は悪いが。
Lloyd Coleのオフィシャルサイト

2004年3月26日金曜日

When In Rome / The Promise(1988)


(今日の80's #27)When In Rome / The Promise(1988)米11位、英58位
When In Romeの方がアーチスト名で「The Promise」が曲名。イギリスのツインボーカル+キーボードの3人組(3人とも男、ジャケットのお姉ちゃんはメンバーではない)。アルバムは「When In Rome」の1枚しかなく、この曲が唯一のヒット曲(次のシングル「Heaven Knows」は辛うじて米95位)。アルバムの他の曲はさておき、この曲は白眉。かなり隠れた名曲。分類としてはエレクトロ・ポップになると思われるが、永遠の愛を誓うさわやかで流麗な曲。とてもすがすがしい気分になる。サビの部分のコーラスはかなり気持ち良いのだが、サビの部分と他の部分はボーカルが違う人だとはビデオ見るまで気付かなかった・・・。この1曲だけを残して、その後の彼らの消息は不明だが、こういう時代を反映したポップスもいいよね。
ファンサイト

2004年3月25日木曜日

David + David / Welcome To The Boomtown(1986)


(今日の80's #26)David + David / Welcome To The Boomtown(1986)米37位
1985年にカリフォルニアで結成された二人のDavid(David Baerwald、David Ricketts)によるユニットのデビュー曲。この曲はアルバム「Boomtown」からのシングルであるが(この曲はアメリカで37位、次のシングル「Ain't So Easy」は51位)、バンドはこのアルバム1枚のみで1987年にはさっさと解散しており、印象が薄いのかその後あまり話題に上らないようだ。しかし、この曲は当時かなりのインパクトを受けた。震えるような歪んだギターの高音で始まるこの曲は、イントロだけでなにやら不穏な世界に連れていかれる。夢に破れて道を踏み外し転がり落ちて行く人たち、一見何でもない新興住宅地でのドラッグにまみれた厳しい現実を次々と切り取っていく。ダークでシニカル。でも行き詰まった感じというよりは、どこか救いのあるようなそんな曲である。これもまたアメリカの一つの風景。
ユニット解散後はそれぞれソロで活動しているようだが、特にDavid Baerwaldはソロでアルバムを発表するかたわら他人のプロデュースや作曲も手がけており、Sheryl Crowの「Tuesday Night Music Club」などはほとんどDavid Baerwaldの手がけた曲である(ちなみにこのアルバムにはDavid Rickettsも参加しており、ここで二人顔をあわせている)。他にはSophie B. Hawkins、Joni Mitchell、Rickie Lee Jones、Robbie Robertson・・・などなど様々なアーティストと共演しているらしい。結構イイ仕事してるなあ。
David Baerwald Info Source・・・David Baerwaldのファンサイト。レアなライブなどの膨大なmp.3が・・・いいのだろうか。

2004年3月16日火曜日

キューバ!


昨年夏にキューバを旅した時の写真をメインのホームページのほうにアップしました。宜しければご覧下さい。まだ外は寒い日もあろうかというのに、写真は夏真っ盛りです。
表紙から→The Globetrotter→Scrapbook→Cubaで入れますが、直リンクはこちらです。
Habana1Habana2Varadero

はぁ、また旅に出たくなりました。今年はどこに行こうかな。

2004年3月12日金曜日

岡山のラーメンとカツ丼

先日仕事の関係で地元の岡山に日帰りで往復したので、岡山ネタを2〜3紹介。
岡山県人にはラーメン好きが多い。昼飯、夕飯、晩飯、飲み会の後など、ラーメンを食べに行く機会はとにかく多い。人口あたりのラーメン屋の数は日本一多いというまことしやかな噂もあるらしく(data not shown)、少なくとも博多や札幌よりは多いらしい。博多や札幌、喜多方のようにいわゆる「岡山ラーメン」というジャンルはなく(少なくとも公に認められているものはない)、むしろその多様性というか、雑食性が岡山のラーメンを特徴づけているように思われる。すなわち醤油、みそ、豚骨、魚介類系、その他・・・と様々なラーメンが混在する。その時の胃の気分によって今日はどこのラーメン屋、今日はあそこのラーメン屋と食べわけるのだ。「今日はどこのラーメン?」が会話の出だしであったりもする(それは僕らのまわりだけか?)。僕にしても「岡山のラーメン屋」で少なくとも2〜30件は挙げられる。そういう人も多いはずだ。
さて、岡山にはデミグラスソースがかかったカツ丼がある。他県と同じく卵とじのカツ丼も当然あるのだが、ラーメン屋で出るカツ丼はこのデミグラスソースのタイプが多く、お腹減った時にはカツ丼とラーメンをセットで注文したりする。これが実にうまい。
さて、今回は日帰りでもあり岡山県人には非常に「べた」だと思われるかもしれないが、その両方を食べに「やまと」に行ってきた。「やまと」のラーメンはカツオ、昆布のだしに豚骨、豚の皮を使ったコクのあるスープで、その割に和風だしが上品な為あっさりと食べられる。当然スープも最後まで頂く。若い方から高齢の方までこのラーメンのファンは多く、当然好き嫌いはあろうが岡山のラーメンのランキングではいつも上位にランクされる。久しぶりに食べたがやはりうまかった〜。
岡山にこられる機会があれば、岡山のラーメンとカツ丼を是非ご賞味頂きたいと思う。

やまと
住所;岡山市表町1丁目9-7 電話;086-232-3944
営業時間:AM11:00〜PM7:00(PM3時からPM5時は休み)

岡山ラーメン学会

2004年3月5日金曜日

Rebekka Bakken, Julia Hulsmann / Scattering Poems


(新譜、Jazz)Rebekka Bakken, Julia Hulsmann / Scattering Poems
最近注目している女性ボーカリストRebekka Bakken。2002年にWolfgang Muthspiel(ギター、エレクトロニクス)と組んだアルバム「Beloved」はホントに名作で当時よく聞いたものだった。Wolfgang Muthspielの深く透明感のある音世界にRebekka Bakkenの声。Wolfgang Muthspielの作り出す音はまるで慈しむようにRebekka Bakkennの声を包み、その中で彼女はある時は慈悲深く、ある時は叫ぶように自由に歌い上げる。蜜月のような素敵なアルバムであった。
さて先日某CDショップに行った時、店内でかかっていた歌声に聞き惚れて迷わず購入したのが今作「Scattering poems」である。その時同一人物と気付かなかったのは恥ずかしいのだが(覚えにくい名前だし・・・ぶつぶつ)、こういう形で再開するとは思わなかったというのが正直なところで、同時に僕の好きな声のタイプは変わらないのだなと再確認してみたり。
さてRebekka Bakkenは1970年ノルウェー産まれのシンガーソングライターである。ニューヨークで活動していたが、現在はウイーン在住らしくヨーロッパのアーチストとのコラボレーションが多いようだ。Wolfgang Muthspielはオーストリア人だし、今作のJulia Hulsmannもドイツのジャズピアニストである。この「Scattering Poems」はそのJulia Hulsmannのピアノトリオと組んだ作品で、アメリカの詩人E.E.Cummings(1894-1962)の詩に曲をつけたものである。E.E.Cummingsは「私」を「i」と表現するなど小文字表現を使い、句読点の省略、語間の空白、口語的なリズムの採用、表現の短縮化など独特な自由詩の作風を持つ。そのようなリズムを持った詩だからこそ曲をつけるのは容易であったと彼女らは語る。Julia Hulsmannのピアノトリオとの真剣勝負の如くRebekka Bakkennの伸びやかで芯のあるハスキーなボーカルが対峙する。ポップでありながら緊張感がありスリリングである。最近は「Beloved」と交互に毎日のように愛聴している。

material records(Wolfgang Muthspielのレーベル、「Beloved」はここから発表)
ACT(「Scattering Poems」はなんとACTから発売)
E.E.CummingsのUnofficialなサイトE.E.Cummingsの詩の紹介
UniversalのRebekka Bakkenのホームページ(2003年Universalから発表されたソロアルバム「The Art Of How To Fall」も音楽的に広がりのあるよい出来の作品だが、僕としては少しプロダクションされすぎで面白みに欠けるように思われる)

2004年3月3日水曜日

生きる喜びーアフリカの二人:J.D.オカイ・オジェイケレとマリック・シディベ

(美術展・東京)生きる喜びーアフリカの二人:J.D.オカイ・オジェイケレとマリック・シディベ
品川の原美術展で開催されている、現代アフリカの2人の写真家の展覧会に行ってきた。
オジェイケレ氏はナイジェリアの写真家で、1968年より30年にわたってナイジェリア女性の緻密に編み込まれた髪を「Hair Style」シリーズとして撮り続けている。彼女らの精巧に編まれた髪が、まるで彫刻のようにクリアーにたんたんと記録されている様はRobert Mapplethorpeを彷彿させるが、その写真に被写体の喜びの感情がひしひしと感じられるようである。氏は「ヘアースタイルはアート」であると言い、また「アートが人生である」と語る。
シディベ氏はマリの写真家。1960、70年代のマリ共和国独立当時の首都バマコのいかした若者たちを生き生きととらえる。当時の解放感あふれるパーティやピクニックの様子を記録した写真はやはり喜びに満ちているようだ。James BrownやChubby Checkerらのレコードジャケットを手に写っている人もいて、写真から曲まで聞こえてきそうだ。川べりでのピクニックなどレコードなんか聴けそうにないところでもナゼかレコードを持っている写真が多いのは、やはり自慢だったんだろうか。僕が一番気に入ったのは上の看板にもある「クリスマスの夜」という写真。楽しそうに踊るカップルのほほ笑ましい写真からも、あふれるような喜びが伝わってくる。
ただ少し感じた違和感は、おそらくここに写っている若者たちは、恵まれた家庭に育った裕福な若者ではないのだろうかということ。今から30年も前の写真が中心であり現在のアフリカと比べることはできないが、貧困や犯罪、疾病におびやかされているアフリカは見えてこない。ともあれ、今も昔も遠くに存在するアフリカの一場面を知る事のできる貴重な記録である。またアフリカに行きたくなってしまった。

原美術館
→生きる喜びーアフリカの二人:J.D.オカイ・オジェイケレとマリック・シディベ;開催中〜2004年4月11日(日)まで。午前11時〜午後5時、月曜日は休館日。