2004年4月3日土曜日

Depeche Mode / Blasphemous Rumours(1984)


(今日の80's #31)Depeche Mode / Blasphemous Rumours(1984)英16位
1980年結成なので、すでに20年以上のベテランの域に入る。Depeche Modeは間違いなく現存しているイギリスを代表する重要なバンドのひとつである。1980年Vince Clarke、Andrew Fletcher、Martin L. Goreに David Gahanが加入しDepeche Modeがデビュー。直後の1981年、結成当初の曲のほとんどを書いていた中心人物Vince Clarkeが脱退し(後にYaz→The Assembly→Erasure)バンドの存続が危ぶまれたが、Martin L. Goreが隠されていた作曲能力を発揮し、その結果以前よりさらに深みと広がりそして重みを持った作品群を発表するに至る。Martin L. Goreのソングライティング・センスはもうすこし評価されてしかるべきと思う。1982年にAlan Wilderが加入しバンドとしての音が確立していくが、1984年の「Some Great Reward」はDepeche Modeとしては4枚目のアルバムで、初期の彼らの代表作だ。このアルバムから「People Are People」(米13位、英4位)、「Master and Servant」(米87位、英9位)がヒットし世界的に認知されるようになるが、個人的には「冒涜的な噂」と名付けられたこの曲の重要性を主張したい。
「16歳の少女が人生に嫌気がさし手首を切ったが、なんとか一命はとりとめた。主が情けをかけてくれたらしい。母親は涙をこらえ少女のメモを読み返し、ひざまずいて祈った。少女は18歳になり全てのものを愛せるようになった。イエス・キリストに第二の人生を見いだしたが、自動車事故にあい生命維持装置に繋がれたまま死んでしまった。彼女が逝った夏の日も空には小鳥が鳴いていた。そしてまた母親の目から涙がこぼれる。冒涜的な噂を流すつもりはないが、神のユーモアのセンスは悪すぎる。僕が死んだらきっと彼はあざ笑うんだろう・・・。(Blasphemous Rumours)」
どうしようもない皮肉な運命の悪戯、納得のいかない人生の転機。思えばニュースを見渡しても同様の事は普段の生活にも毎日のように起っていることであり、自分にもいつ降りかかってくるかはわからない。David Gahanはぽつりぽつりと低い声で歌い、灰皿のようなものが転がる音や鼻をすするような音が効果的に使われる。この曲をはじめに聞いた時の衝撃は忘れられない。この曲の両A面のカップリングは「Somebody」(アルバムとはバージョン違い)で、心臓の鼓動の音から始まる慈しむようなMartin L. Goreの歌うバラード。この曲があるから救われるし、さらに泣ける。
この後もバンドはどんどん成長を続けるが、1995年にAlan Wilderは脱退(→Recoil)。またDavid Gahanが自殺未遂を起こすが、1997年に復活。その後は現在は3人組として順調な活動をしているのは周知の通りである。旧来の美少年たちはいい意味で色気のある大人に成長したし、David Gahanの声にも艶と深みが増したなあ。今後の活動も楽しみである。
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