2004年4月15日木曜日

Andre Mehmari / Canto


(旧譜・Brazil, Jazz)Andre Mehmari / Canto(2002)
 さて、こういう作品に出会ってしまうと、一体どういう表現を使って紹介したらいいのか途方に暮れてしまう。音を聞いていただければいいのだが、なかなかそういうわけにもいかず、試聴できるサイトを探すのも一苦労である。実際出会ったのはかなり前なのであるが、未だに言葉に悩んでいる。まあ、いいや。出しちゃえ。 
 Andre Mehmariは1977年生まれ、ブラジル出身のピアニストで、2002年の「Canto」は事実上初のソロアルバムとなる。このアルバムで彼はピアノ、オルガンからビオラ、ヴァイオリン、クラリネット、ギター、パーカッション、ボーカルにいたるまでほとんど全てのパートをひとりで演奏し、この優美な世界を作り上げている。この時彼は25歳。恐ろしい・・・。Milton Nascimentoの「Cais」のカバーも収録されているが、端正で壮大な曲のほとんどは自身のオリジナルであり、クラシックの要素も感じられる。曲を聴いていると、遠く旅の空の下で優しい風に吹かれているような、空を見上げているような、そんな風景が目の前に広がる。イメージがどんどん膨らみ、胸がすくような感じである。繊細で美しく、そして叙情的である。ショーロの曲も2曲収録されており、これらもさわやかで気持ち良い。間違いなく何年経っても聴いているであろう傑作である。

 また、つい先日2枚目のアルバム「Lachrimae」がリリースされたところであるが、こちらはピアノトリオをメインに、曲によってクラリネット、ストリングスなどを追加した叙情的で本当に美しい作品である。始めの一音から泣ける。このアルバムではMehmariはピアノに専念しているようだ。「Canto」より音数がしぼられシンプルであるが、その分さらに研ぎ澄まされ洗練されているような印象を受ける。また、ボーカルでMonica Salmasoが参加。こちらも妥協のない傑作である。

Official Site(試聴可!)
紹介サイト(試聴可)
Nucle Contemporaneoレーベルのサイト
上記サイト内、「Canto」の紹介ページ

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