2004年4月11日日曜日

The The / Heartland(1986)


(今日の80's #33)The The / Heartland(1986)英29位
1986年に発表された「Infected」は1980年代を代表する重要作だ。The Theは基本的にはMatt Johnsonのひとりプロジェクトだが、この「Infected」は「Burning Blue Soul」(Matt Johnson名義)を入れると3枚目のアルバムになる。ほとんど1人で作られた濃密で完成度の高い傑作である。しかしエネルギーは外に向かっており、矛盾した社会への強い批判、シニカルでシリアスな歌詞などかなりメッセージ色の強い内容になっている。
この曲はこのアルバムからのシングルだが、アメリカに傾倒するイギリス社会への批判になっている。ビデオクリップは広場のステージにひとり立ち歌うものだが、観客はコーラ(アメリカのメタファー?)を飲んでいる女性ひとりだけ(その後コーラを吐くイメージが重なる)。バックのスクリーンにはデフォルメされたイギリスの日常が次々と映し出される。印象深いビデオである。曲の最後に「イギリスはアメリカの51番目の州だ!」というフレーズが繰り返されるのだが、そのするどいメッセージは20年近くたった今でも有効である。というか、今でこそ必要である。単純に言葉を借りれば、今の日本はアメリカの52番目の州じゃないか!?
このアルバムに合わせて収録曲が全曲(!)ビデオクリップ化されたビデオも発表された。このビデオは一曲一曲が濃縮され完結しながら、1本通して見てもまとまりのある完成度の高いものとなっている。それだけ彼の視点が焦点の合わさったものであったという事だろう。強い意志を感じる傑作である。もう何回見たかわからない。
そして忘れてはならないのがMattの実弟であるAndy Dog(Andrew Johnson)によるアートワークである。グロテスクで鋭くビビッドに表現されたアートは、この頃のThe Theのアルバムやシングルのジャケット全てに使われておりどれも印象的なものだ。因にAndy Dogは1990年頃(詳細不明)夭折している。
The Theとしてはこの後Johnny Marr(元The Smiths)などを迎えてバンド化し攻撃的な作品を数多く発表しているが、なんだか最近のものは内省的な感じが強くなっている。オフィシャルサイトもしばらくBlack Outが続いていたが、最近Re-Launching soonに変わり活動再開の予感がするのだが・・・?期待して待っている。
(注1・「Infected」はイギリスとアメリカで収録曲のアレンジが違う。ファン泣かせである・・・全く。)
(注2・マニアックな話になるが、「Infected」の初回盤のジャケットは娼婦のところで上半身裸で叫んでいるやつだが、一度見た記憶があるのみである。どなたかご存知ではないだろうか・・・? →と、ここまで書いて今日中古レコード屋行ったらあったよ!やったぁ!!)
オフィシャルサイト・・・Re-Launching soon、活動再開寸前か?

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