3月26日にRickie Lee Jonesのライブに行った。何で早々にこの文章を書かなかったのか?・・・書けなかったのだ。思い入れがあればあるほど。20年来彼女のファンであって(といっても、CDやレコードを集めて聴きまくるくらいだが)、はじめて生で彼女の演奏が聴けるというのは僕にとって一大イベントだった。そもそも来日は10年ぶりであり、今回の来日公演も大阪、東京の2回のみであった。幸運な事に万事うまくいって、席も前から3列目が取れたのだが、数年前のフジロックフェスティバルも突然キャンセルになったこともあり、ホントに生で歌声を聴く事が出来るのか?当日第一声を聞くまではひやひやものだった。実際オーストラリア公演はキャンセルになったらしい。会場にはピーター・バラカンさんの姿もあった。
ステージに登場した彼女はワインレッドのセーターとスカート。普段着のようだ。挨拶も早々に、腕をまくり髪をかき上げ、ギターを掻き鳴らして歌い出した。純粋にカッコいいと思った。そしてあの声。チャーミングであり、小悪魔的であり、甲高く、優しく・・・。今年で50歳になろうかというのに、不思議な事に20年前と変わってないようにすら思われる。あの声の主が目の前にいる、何という事だろう。スローな曲もいいが、やはりミディアムからテンポの速めの曲でのリズムに乗った歌い方が気持ちいい。そう、彼女の曲は自由奔放で聴いてて気持ちいい、ということがキーワードだと思う。バンドは5人。ベース、ドラム、キーボード兼トランペット、リード。ギターは曲ごとに換え、全て彼女が弾いていた。さすがにみんな手練れであり息も合ってて、にこにこ楽しそうに演奏していた。それぞれのアドリブもぱきっと決めていた。曲は最新アルバムの「The Evening of My Best Day」からが半分ほどと、旧作から自身の曲がほとんどであった。人気曲「Weasel And The White Boys Cool」や「Young Blood」、「Satellites」では歓迎の拍手が起ったし、「Chuck E.'s In Love」は予定外で即興で歌いはじめられたらしく、彼女のギター弾き語りとなった。みんなが手拍子した。バックのメンバーはにこにこと見守っていた。ラストはブッシュ政権を批判した「Ugly Man」。7時15分から9時50分の約90分があっという間であった。
彼女は余計な事はしない。CDにも妙なボーナストラックとかつかないし、おまけもない。コンサートでもMCは最低限だし、つたない日本語を使ったり、日本にちなんだ曲も演らない。今回アンコールがなかったというのも同様の事かもしれない。それはそれでカッコいいと思う。ただ、コンサートホールは中途半端なライトの消し方(客席は暗く、ステージがわずかに明るいまま)をしないで欲しかったな。期待しちゃうじゃない・・・。海外のコンサートではアンコールのある日もあったようだし、実は当日も流動的なものだったのかもしれない。日本の何かに気を悪くしたのではなければいいが、とそれだけが気になった。
ともあれ、コンサートが終わった後は満足感とともに、今度彼女の声が生で聴けるのは一体いつなんだろうな・・・という、喪失感に見舞われてしまった。
→Smashによる東京公演のフォトレポート
→同じく大阪公演のフォトレポート
→同じく東京公演フォトレポート、時間は止まったままだった
→同じく東京公演フォトレポート、年齢を超えられる人もいる
→The Official Rickie Lee JONES Website
→ 上記オフィシャルサイト内、ツアーのページに東京の桜とRickie Lee Jonesの写真あり
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